ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(44)DELLぺーパーバックP557~ 559(終了)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(44)DELLぺーパーバックP557~ 559(終了) (ここから終了まで、この物語の語り手であり、主人公アーサーの兄であるホールがみた夢の話である) ジミーと姉のジュリア、アーサーと私がカントリー・ポーチに立っ…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(43)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(43) アーサーとはジミーは、同性の愛人であると同時にゴスペルシンガーピアニストとして、14年間一緒に暮らした。アーサーが麻薬に手を出したことで、パリでけんかになった。アーサーは単身ロンドンに渡…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(43)DELLぺーパーバックP542~ (終了まで17ぺージ) 救い主を高くかかげよ だれからも見えるように 主を信ぜよ 私が地上から上げられるとき 私はすべての人を私のもとに引き寄せる とおっしゃった主の言葉を疑…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(42)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(42) ジミーとアーサーは18番街のデイストリートの3階か4階の屋根裏部屋に一緒に住んで、練習に励んでいた。下の階は中小企業が入っていたが、縮小したり倒産したりで、出入りがはげしかった。一階は工…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(42)DELLぺーパーバックP535~ (終了まで24ぺージ)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(42)DELLぺーパーバックP535~ (終了まで24ぺージ) そのころ、私はとても幸せだった。ルースがいたからだけでなく、ジュリアが戻ってきてくれたからだ。この二つの事実は互いに関連していた。もしジュリアが…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(41) ホールはジュリアに「君がなぜ西アフリカ、コートジボワールのアビジャンに行ったのか、理解に苦しむ」と言ったが、ジュリアをアフリカに誘った黒人男性がいた。その男は教会学校の出身で、妻と二人…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(41)DELLぺーパーバックP524~ (終了まで35ぺージ)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(41)DELLぺーパーバックP524~ (終了まで35ぺージ) (カーネギーホール正面の階段で待ち合わせたジュリアとホールは二年ぶりの再会を果たし、近くのロシア料理の店に入った) 「私はアビジャンというまちにいた…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(40)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(40) 前回の南部公演ツアーでは、ピアニストのピーナットが行方不明になったが、今度は同じピアニストのスコットが警察に逮捕された。アラバマ州モントゴメリーの道路でつばを吐いたというのが警察のいう…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(40)DELLぺーパーバックP504~

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(40)DELLぺーパーバックP504~ (アフリカのアビジャンからニューヨークに戻ったジュリアは、南部に行って空き部屋となったジミーのアパートに滞在することとなった) 彼女はジミーの残したメモを読んでからバ…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(39)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(39) 日曜の午後、ジミーがホールの家を訪ねてきた。ホールの妻と二人の子どもは黒人だけのミュージカル「The Wiz」を観に行って留守だった。ジミーは同性の愛人アーサーとパリで暮らしていたが、そのこ…

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」第五部

第5部 地獄の門 それは私です、それは私です、 主よ、祈りを必要としているのは私です。 伝承 このローブが私に似合っているのはわかっています。 地獄の門の前で来てみました。 伝承

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(39)DELLぺーパーバックP488~

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(39)DELLぺーパーバックP488~ 「間違ったらごめん。2×3が4になるような話だが、君はアーサーじゃないか?」 「そうです」とアーサーは言った。 「お父さんの名前は――ポール?」 「そうです」何が起きたのか…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(38)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(38) ガイの部屋で一夜を過ごしたアーサーは、午後3時ごろ目を覚ました。隣には全裸のガイがまだ眠っている。改めて明るい日射しの入るガイの部屋を見ると、机の上にアフリカ風の装飾をほどこしたペーパ…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~③

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~③ 「わかりました。マヘリア・ジャクソンが歌っていますね。あなたの歌を一度聞きたくなりましたよ」 「僕もあなたに聞いてもらいたいです」 しばらく二人とも話をすることなく…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~②

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~② ガイはカウンターの女性に合図をする。彼女は笑顔で歯――歯痛の治療で何本か欠けている――を見せてそれにこたえる。アーサーとガイはそれを後にシルクとフランネルが敷かれた階…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~①

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(38)DELLぺーパーバックP454~① カフェ・ド・フロレのテラスにすわっていた赤毛の大男が、テラスのドアを開け、にこやかな笑みを浮かべてアーサーに近づいてくる。 「お邪魔ですか?」 屈託のない笑顔で、黒…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(37)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(37) パリのアーサーから近日中に帰国するという電話があった。ホールに南部へまた一緒に行ってくれないかという話もあった――彼はどこにいてもずっと考えていたらしい。ホールもそうだった。 兄のホール…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(37)DELLぺーパーバックP436~

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(37)DELLぺーパーバックP436~ ピーナットが行方不明になった衝撃で、我々は散り散りバラバラになってしまった。彼の祖母は部屋に閉じこもって空しく彼の帰りを待っていたが、三カ月たって、捜索に出ようとし…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(36)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(36) シャーロットでピーナットの親戚のもてなしを受けた三人が車に戻ってラジオのスイッチを入れると、キューバ問題のニュースを放送していた。核戦争になりそうだと国中が大騒ぎになり、だれもがキュー…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(36)DELLぺーパーバックP411~ (レッドの腕に残る麻薬注射のあとを見たピーナットは言った) 「レッド、力になるよ。何でもするよ。何でもするよ」私は彼をすわらせ、泣きやむまで抱きしめた。 「レッドは朝鮮…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ35】 リード夫妻の厚意で、アトランタにいる夫妻の友人の家に宿が確保され、好天のせいもあり、アトランタへの旅は快適なドライブだった。車中、ピーナットはレッドの思い出を話した。 ピーナットは幼…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(35)DELLぺーパーバックP399~ 地図を見ると、恐怖にかられて生きた心地がしない。ヴァージニア州の北の端、ワシントン州との境、メリーランド州の斜め向かいにヴァージニア州リッチモンドがある。地図の三分…

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」翻訳中

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ34】

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ34】 集会が終わって外へ出ると、まだ大勢の警官がいて、その前を通らねばならなかった。白人警官が黒人に暴行を加えるのに理由など必要ない。集会参加者の中には今夜のうちに命を落とす者がいるかも…

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳(34)DELLぺーパーバックP392~ 「みなさん、きょうはニューヨークから歌手をお招きしています。だいぶ前からこちらでの公演をお願いしていたのですが……」彼女はここで少し間をおいて笑顔を見せた。「その辺の…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ33】

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ33】 アーサーの初めての南部公演ツアーは、ピーナットが車を運転し、ホールがマネジャーとして同行した。最初の公演地バージニア州リッチモンドの教会は、ごく普通の黒人教会であったが、モントゴメ…

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳(33)DELLぺーパーバックP382~

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳(33)DELLぺーパーバックP382~ ピーナットとアーサーと私が南部へ行ったときは、どのステージもアーサーには伴奏者がいなかった。ピーナットは会場整理から警備、そのほかアーサーの右腕となって働いた。私に…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ32】

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ32】 ジミーは彼自身が南部で体験した黒人差別を語ったあと、南部での演奏旅行を計画しているアーサーに「これでも南部に行きたいか」と問いかけた。アーサーの答えは「そのときは君にガイドを頼みた…

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳(32)DELLぺーパーバックP373~

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳(32)DELLぺーパーバックP373~ 演奏旅行を希望しているアーサーが南部について尋ねると、ジミーは身体を乗り出して、南部の土地柄について話した。それはアーサーだけでなく、ジュリアや私にも興味深いものだ…

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ31】 アーサーがホールのアパートを訪ねてきて、大成功だったカナダ公演の話をしているときに、ジミーがやってきた。ジュリアもくることになっていた。ジミーはピアニストになるのが夢で、幼なじみで…