2020-02-29から1日間の記事一覧

短篇小説「階段」

あっという間のできごとだった。 同窓会が終わり、先生と並んで話しながら一階へ降りる階段へ来たとき、先生が足を踏みはずした。先生の体は横になって回転しながら十段ほど落ち、途中の踊り場で止まった。先生はすぐには立ち上がらなかったが、横になったま…

短篇小説「浜辺にて」

短篇小説「浜 辺 に て」 八月の終わり、海も荒れる日が多くなり、くらげが増える。泳いでいると、一瞬太腿あたりを何かが掠め去って、痛みを感じる。慌てて海から上がると、痛みを感じたところがピンク色に腫れ上がっている。そして、夏も終わりだという寂…