2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」【あらすじ―6】

ジュリアとホールの交際が始まったのは1957年、アーサーが独立してソロになった年だった。1960年ごろ、彼はフロリダの田舎で公民権運動に参加していたが、専属のピアニストがアラバマで逮捕、投獄されてしまった。私はアーサーが心配でツアーに同伴するよう…

ジェームズ・ボールドウイン「頭のすぐ上に」抄訳とあらすじ

あのころのジャズ

あのころというのは、ジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィが活躍し、植草甚一さんがスイングジャーナル誌に健筆をふるっていた1960年代のことだ。古い話だが、甚一さんの「ジャズの前衛と黒人たち」(晶文社1967年5月)に、「エリック・ドルフィの死と『…

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(5)DELLベーパーバツクP52

「こんな時間に」とジュリアが言った。10時を少し過ぎていた。 「いいじゃないか」と私は言った。「君の秘密の恋人に会ってみたいな」 ジュリアが立ち上がると、二度目のベルが鳴った。「秘密の恋人どころか、変なやつかもしれないから、一緒に来てちょうだ…

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳とあらすじ