2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(2)DELLぺーパーバツクP24] すさまじい雷鳴が頭の中で轟いて目がさめた。漆喰塗りの天井の、重い、塗装のない剝き出しの梁が、私を押し潰すように私の頭のすぐ上、2インチもないところに迫っていた。叫び声を…

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」【あらすじ―2】

「私」の名はホール・モンタナ。カリフォルニア生まれだが、父親のポールがニューヨークに移住したため、そこで生まれた弟アーサーとともにニューヨーク育ちである。ポールは数年前に死に、母親のフローレンスは現在、夫ポールとの出会いの地ニューオリンズ…

ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳とあらすじ

(1)冒頭部分 初めは鼻から、次に首の静脈から血がほとばしった。口からも血が噴き出し、目に飛び散ってアーサーの視界を遮った。そして彼は倒れた、倒れた、倒れた、倒れた、倒れた(*)。 (*) 原著にdown, down, ……と5回書いてある。 【あらすじ―1】 アーサー…