ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」抄訳(2)DELLーパーバツP24]

 すさまじい雷鳴が頭の中で轟いて目がさめた。漆喰塗りの天井の、重い、塗装のない剝き出しの梁が、私を押し潰すように私の頭のすぐ上、2インチもないところに迫っていた。叫び声をあげたつもりが重圧に押し潰されて声にならなかった。私は反射的に目を閉じた。再び目を開くと、天井はもとのままだった。私は目をしばたいた。天井は上にも下にも動いていなかった。それは窓の外の空のように固定され、私の頭の上から永遠に動かないように見えた。

《解説》ここに「頭のすぐ上に」“just about my head”が出てくるが、これが本のタイトルになったのかどうか、まだわからない。