ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(43)

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」あらすじ(43)

   アーサーとはジミーは、同性の愛人であると同時にゴスペルシンガーピアニストとして、14年間一緒に暮らした。アーサーが麻薬に手を出したことで、パリでけんかになった。アーサーは単身ロンドンに渡り、クラブで弾き語りをしていた。ジミーはアーサーの後を追ってロンドンへ行き、彼をニューヨークに連れて帰るつもりだったが、アーサーの死により、その願いは果たされなかった。アーサーの謎めいた死の場面から始まったこの物語は、最期にその死因が明らかになる。

 その夜、アーサーはピカデリーにある彼のホテルの近くのバーのカウンターで飲んでいたのだが、急に胸が苦しくなり、勘定をすませて店を出ようと思った。震える手で5ポンド札を出し、釣り銭を受け取って地下のトイレに向かった。階段を下りていくと、突然階段がせり上がってきて彼の胸を押し潰すような感覚にとらわれ、仰向けに倒れた。