吉井勇の短歌

岩波文庫「美しい日本の詩」では、吉井勇の歌を二首あげている。「かにかくに祇園はこいし寝るときも枕の下を水のながるる」「紅灯のちまたに往きてかへらざるひとをまことのわれと思うや」であるが、私なら「比叡ゆきの終り電車のはしる音かすかにひびく冬の夜深に」をあげたい。もう一首は、さて―そもそも二首というのが無理なんだなあ。