ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ12】

二人はジョセフィンおばさんのクリスマスパーティから抜け出して、シドニーのバーに行った。店内は窓やクリスマスツリーに電飾が入り、客もいっぱいで、夕方来たときよりにぎやかだった。年配の客が多く、父親や母親のような人たちが二人を歓迎してくれた。服を着替えて忙しそうに動き回るシドニーは、とても若々しく見えた。マルタを紹介すると、彼は彼女の両手を握って喜んだ。彼は二人のためにテーブルを空けておいてくれた。彼が特別につくってくれたパンチを飲みながら、ホールに召集の日が迫っていることや、徴兵忌避の方法、「風と共に去りぬ」の舞台であるジョージア州タラ農園の話をしていた。そこへ忙しすぎるシドニーが休憩をとるというので、それをしおに、二人はホールの父がピアノを弾いている店に行くことにした。