ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ30】

ジェームズ・ボールドウィン「頭のすぐ上に」 【あらすじ30】

その夜、二人がジュリアの部屋に帰ったのは、2時近くだった。ジミーは寝ていた。飲みながら話しているうちに、ホールは激しい性欲に襲われた。勃起したペニスがパンツを突き破ってヘソまで届き、ジュリアを襲いそうだった。「ジュリア、ジュリア、受け入れてくれ」とホールは嘆願した。彼女はホールをじっと見ていたが、「ジミーにメモを残しておくわ」と言って自分の部屋に入り、しばらくして紙と小型ボストンバッグを持って出てきた。ホールがそれに名前と住所を書くと、ジュリアが「ホールと一緒です。ジュリア」と添え書きした。二人で外に出ると、今度は運よくタクシーがすぐつかまり、70番街のウエストエンドにあるホールのアパートに向かった。