ジェームス・ボールドウィン「頭のすぐ上に」【あらすじ7】

第二部 エルサレムの12の門

  9歳のジュリアが牧師として説教する場面から始まる。説教の内容は、旧約聖書ダビデの物語だった。彼女の両親と弟のジミー(7歳)が前列にすわり、その後ろに18歳のホールと弟のアーサー(11歳)がすわっていた。ホールの両親がジュリアの祖母と旧知の間柄で、ジュリアの家族はそれを頼りにニューオリンズから移ってきたばかりだった。ホールはニューオリンズの位置する深南部は知らないが、親の世代にとっては憧憬と恐怖と苦痛が記憶に刻まれている土地だと想像する。ミサの終了後、ジュリアの家族はホールの家を訪れ、親同士、子供同士の交流の中で、ジュリアの両親――エイミーとジョエル――が、ジュリアが7歳で信仰に目覚め、牧師になることを決意したときのことを語る。